生きていると誰かに何かを教える事があると思う。
仕事だったり、それ以外でも。
最近、会社に新人が入ってきて、先輩が教育係として面倒を見ている。先輩が教えているところを見ていると色々昔の事を思い出した。
昔、仕事で新人の教育係を押し付けられて任されて、うんざりした事があった。
その他、僕なんか大した腕ではないが楽器を教えてくれと頼まれた事もある。でもそういうお願いをされてもハッキリ言ってどこか気乗りしない。
僕は昔から人に何かを教えるのがとても苦手だから。
自分で言うのもアレだが、苦手な事以外はなんでもそつなく出来てしまう方だ。
新しい事に挑戦した時、上級者のレベルに行くまでは時間がかかっても、割とすぐコツはつかめる方だと思う。
それに、何かをするとき、割と感覚でやってしまう事が多くてあんまり細かい事を考えていない。
だから逆に何か上級レベルまで自分を鍛えるのがすごい苦手だし、苦手な事をやろうとすると感覚で出来ないから、人一倍苦手になる。壁に当たった時にどうするべきか、対処法を知らない。すべて中途半端。
ここまで自己分析出来ていてもあんま人生に活かせてないけど。
例えば、はじめてボウリングの玉を投げて、それ以降何回投げても100％に近い確率でストライクが出せた人がいたとする。
その人に「どうやったらそんなに毎回ストライク出せるの？」と聞いてもきっとその人は分からないと思う。
「え・・普通に投げているだけだけど・・」
ってなるはずだ。
それは極論なんだが、要するに
自分が苦労しなかったところで教える相手がつまずいたりすると、どうして出来ないのかが僕には分からない。
だから苦手。
僕だって苦労して覚えた事は人に教えられる。
自分はこうしたという体験があるから、コツをつかんでいる事もある。でもつかんでいる事もあるだけ。
苦労している時って普通の人は色々考えて取り組むと思うけど、僕はひたすら「出来るまでやる」「覚えるまでやる」みたいに根性論というかがむしゃらにやってきた事が多すぎて、どうやったらうまくできますかって質問に対して「うまく出来るまで何回でもやるだけです」とかどっかスポーツ選手の名言みたいな事言ってる時すらあったりして。
僕は料理が得意だけどそれが最たる例で、一人暮らしが長くてただやってる回数が多いだけで完全に経験則でやっている。調味料の量なんて結構適当でよく作るメニューでも毎回ちょっとずつ違うから、味濃いなと思ったら水足して調整したり薄ければ煮詰めたり、そんな適当にやっていることのやり方を聞かれても困ってしまうというか。
一方で、僕は長年料理をしている割にはずっと包丁使うのがヘタクソだった。これは色々なサイトや動画を見て練習して、前よりマシになった。こういう時は押して切る、こういう時は引いて切る、この食材はこういう風に切るとか研究して覚えたし、失敗して指の肉を削いでしまって血が止まらなくて焦った事もある。
だから、今でも包丁使うのはヘタクソだけど、包丁の使い方をまったく知らない人に多少なり教える事は出来る。もっと得意な事はあるのに、ヘタクソな事の方が教えられる。
そんな感じでいつの間にか出来るようになってた、とか、いまだになんとなくでやってるだけ、みたいな事の方が多すぎる。出来ているのになんで出来ているのか分かっていないような事まである。
この前、民族楽器のボンゴを買った。
それを妻と叩いてたんだが「私と全然違う音がする、どうやったらそんないい音鳴るの？」と言われたものの、僕だってボンゴなんかまともに叩いた事はないから適当に叩いていただけで「えっ」となった。
確かに妻よりはいい音がしていたが、手の平の大きさが違うからかも知れないし、もしかしたらドラムをやっていた経験で多少打楽器の素人よりもいい音が出せているのかも知れないし、それが分からないからあんまり気の利いた事が言えなかった。
仕事でもそれと同じような感じ。特に気を付けてない事に関して質問をもらっても、うまく回答が出来ない。
そんな何も知らない状態で自分がやっているから、教える相手が違うところで苦労しているとどうしていいのか分からない。
「違う、もっとこう・・」と見本を見せる事しかできなくて、あんまりうまく説明が出来ない。
もっと早くやった方が良いことは「もっと早くできるように・・」とか、そんなことは分かってるけど出来ないんだよ！って逆ギレでもされそうな頓珍漢な事言ったしたり。
だから苦手なんだよ。
人に教えるの得意な人、上手な人って、何かやるときにちゃんと色んな事考えられる人、考えてる人だと思う。
僕に新人教育任せるなんて、責任者はどうかしている。他にいい人いるだろ？
それではまた。
